可倒式風力発電システム(建設・保守)

傾倒システムによりメンテナンスを地上で行え、メンテナンスコストと風車の停止時間を大幅に低減することができます。また、台風の際には傾倒し、地面に固定することで暴風から保護することができます。

島しょ地域に、風車の可能性を

 日本の沖縄県は49の有人島と多数の無人島からなる島しょ地域です。亜熱帯に属し、海洋性気候であり、台風も非常に多く襲来する地域です。風車を導入するには塩害・台風という過酷な気象条件に耐えなくてはなりません。
当社はその条件に耐える風車を設置しました。フランスのVergnet社のGEV-MP-Cを基にタワー部を日本国内で制作し、GEV-MP-Cのナセルを使用することで最適な風車を導入することが可能になりました。当社は沖縄の波照間島に日本初となる可倒式風車を2基設置し、その後に南大東に2基の可倒式風車を設置しました。この風車は傾倒システムによりメンテナンスを地上で行え、メンテナンスコストと風車の停止時間を大幅に低減することを可能にしました。また、台風の際には傾倒し、地面に固定することで暴風から保護することができます。

台風を避ける仕組み / 「可倒式風車」とは

風車を「傾倒」することでタワーやブレードを地面と固定し、
台風による破損被害を防止

可倒式風力発電システムの特徴

◆台風に強い

台風接近の際には風車を傾倒し、タワーとブレードを固定することができます。
傾倒作業は1時間程度で、風車を地面に固定すれば最大風速85m/sの台風にも耐えることができます。

◆地震に強い

支線式タワーの柔軟な構造により、地震の多いエリアでも安心です。

◆地上でできるメンテナンス

通常、風車のメンテナンスには大型の重機を使用する必要があり、作業も高所作業となってしまうことから、足場を設ける必要が発生します。当社の可倒式風車では、風車を傾倒することができるため、メンテナンスは地上で行うことが可能となり、大型重機の使用や高所作業は不要です。
これによりメンテナンスコストを抑えることが可能です。 

◆基礎の小型化

タワーは軽量であるのに加えて、支持ワイヤーで基礎と固定されているため、非常に小さな基礎しか必要ありません。

◆輸送・施工性

タワーはその部品全てを20フィートコンテナに収めることができます。
工場でタワーを5分割し、現地で接合箇所のみボルト止めすることで、施工コストを抑えることも可能です。
また風車全体を地上で組み立てることができ、その後油圧ウインチを用いてタワーを持ち上げます。
組立に必要な重機はフォークリフトと最小で30t程度のクレーンで組立が可能です。

タワー地上組立風景

タワー連結作業風景

ナセル組立風景

ブレード組立風景

施工実績

■2019年6月現在

建設場所 出力 竣工
波照間島 245kW×2基 2009年12月
南大東島 245kW×2基 2011年1月
粟国島 245kW×1基 2014年6月
多良間島 245kW×2基 2016年2月
トンガ王国 275kW×5基 2019年6月

波照間島

南大東島

粟国島

多良間島

トンガプロジェクトについて

◆トンガPJ 可倒式風力導入について

日本政府によるODAの無償資金協力では初となる「風力発電システム整備計画」にて、可倒式風力発電設備(5基)をトンガ王国に設置いたしました。
本計画は、トンガ王国の首都ヌクアロファがあるトンガタプ島において風力発電設備を整備することで、再生可能エネルギーの導入を促進すると共に電力供給の多様化に貢献するものです。2015年の第7回太平洋・島サミット(PALM7)において日本政府により提唱されたハイブリッドアイランド構想支援の一環となります。
大洋州島嶼国はサイクロン(台風)による被害が多く、またエネルギー分野では化石燃料への高い依存度が課題であるなど沖縄と同様の問題を抱えております。そのような中で、トンガ王国は、電力供給の93%以上をディーゼル発電で賄っており、その化石燃料はすべて輸入に頼っていることから、2020年までに電力供給の50%以上を再生可能エネルギー(太陽光、風力等)で賄うことを目標としております。
今回の可倒式風力発電設備はそうした目標や課題解決にも寄与します。

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